ウルトラマンシリーズの中の基本フォーマットは「怪獣=倒すべきもの」であったが、すでにウルトラマンの中で人間の味方をするピグモンや特定の人間を守ろうとするウーといった必ずしも敵とは呼べない怪獣が登場し始めていた。この系譜には基本として3つの流れがあると考えている。 第一は人間たちと対立するすることのない立場の者たちで、代表的なものを上げればピグモンやゼアスのデジタルカネゴン、ダイナのハネジロー、メビウスに登場したアンヘル星人やファントン星人となるだろう。 第二はウルトラ戦士の手下として他の怪獣と戦うものたちであり、ウルトラセブンのカプセル怪獣に代表される(セブンガーを含む)。この設定はセブン以降でしばらく採用されることがなかったがゼアスのカプセル怪獣、メビウスのマケット怪獣で復活している。 第三は不本意ながら人間やウルトラマンと戦わざるを得なかったという怪獣たちである。ウルトラマンのシーボーズやウー、帰ってきたウルトラマンのシーモンス夫妻、ウルトラマンタロウのクイントータス親子が有名である。この第三の系譜はガイア、コスモスで新たな展開を見せ始め、地球上の巨大生物が何らかの悪意(ガイアでいう根源的破滅招来体やコスモスのカオスヘッダー)によって「悪の怪獣」へと変化するという展開が見受けられるようになった。象徴的なのはコスモスに登場したリドリアスであり、番組後半ではゾーン一家を助けに来るゴジラよろしく、思い出したようにコスモスを助けに来ていた。 本ページでは第一と第二の系譜を中心に紹介している。これらの系譜に含みにくいものとしては、コスモス劇場版第一作に登場したチャイルドバルタンがある。彼は、種族の中で好戦的なものと平和を望むものの両方があるという極めてあたりまえのことを改めて教えてくれた存在であった。さらにメビウスに登場した宇宙剣豪 ザムシャーは、ツルギに対する敵意をむき出しにしていながらも、その心根は正々堂々たるものであるといった新しいタイプの星人であった。(メビウスを見ていて気になったのだが、メビウスを狙って地球に来る怪獣や星人が多すぎないだろうか。ということはメビウスさえいなければ地球はもっと平和だったのか…?) |