深紅の飛行艇を駆る豚のポルコは、かつてイタリア空軍のエースだったが、今はアドリア海の小島に隠棲し賞金稼ぎとして生業を立てている。ポルコが請け負うのは空中海賊(空賊)退治だ。マンマユート団たち空賊連合はいつも商売の邪魔をするポルコを目の敵にしている。ある晩、昔馴染みのジーナが営むホテル・アドリアーノに出かけたポルコは、米国製の飛行艇を操るアメリカ人カーチスに出会う。カーチスは空賊連合が雇った用心棒だった。しばらく後、愛艇のエンジン整備のためミラノに向かって飛んでいたポルコは、カーチスと遭遇し撃墜されてしまう。ポルコが大破した愛艇をミラノの工房ピッコロ社に持ち込むと、待っていたのはピッコロの孫で17歳の少女フィオだった。ポルコは驚くがフィオの熱意に絆されて設計を任せる。一方、ファシスト政権に非協力的なポルコはミラノでも秘密警察や空軍に狙われていることが分かる。警告に来たかつての戦友は空軍への復帰を薦めるが、ポルコにそのつもりはない。ホテル・アドリアーノでは一目ぼれしたカーチスがジーナに求婚するが、ジーナはポルコを待ち続けている。フィオの才能と献身によって復活した愛艇を駆り、ファシストの追手も振り切ってポルコがアドリア海に帰還すると、空賊連合が待ち受けている。フィオの提案で、ポルコとカーチスの決闘が組まれ、ポルコはフィオを、カーチスはポルコの修理代金を賭けて戦うことになる。決闘当日は、イタリア中の飛行艇乗りやならず者が見物に集まる。一方でジーナは空軍の大編隊がポルコと空賊を襲撃しようしていることを察知する。ポルコとカーチスのドッグファイトは決着がつかず、決闘は殴り合いにもつれ込む。危機を知らせにジーナが駆けつけると、二人ともノックアウトされているが、ポルコが辛うじて立ち上がり勝者となる。その後、フィオはピッコロ社を継ぎ、ジーナと親交を温める。カーチスはアメリカに帰国後、ハリウッドスターになる。そして、ホテル・アドリアーノの上空を紅い飛行艇が飛んでゆく。ポルコが人間に戻ったのか、ジーナと結ばれたのかは明かされないまま、物語は幕となる。 |
ポルコ |
本作の主人公で、通称ポルコ・ロッソ(Porco Rosso)。黒眼鏡、口ひげをたくわえている豚人間。1892年 - 1893年生まれの36歳。全体を赤塗りした飛行艇サボイアS.21試作戦闘飛行艇に乗って空中海賊を相手にする賞金稼ぎ。 |
フィオ |
1912年 - 1913年生まれの17歳。“ピッコロのおやじ”の孫娘で飛行機設計技師、アメリカでの修行経験がある。ポルコが高く評価するほどの腕前。秘密警察に追われ復活したサボイアの飛行テストもままならずにミラノを去ろうとするポルコに「自分の仕事に最後まで責任を持ちたい」という理由で同行し、自身を掛け札にしてカーチスと再戦させる。 |
ジーナ |
ポルコの昔馴染みで、ホテル・アドリアーノを経営する美女。空賊達を含めた飛行艇乗りのマドンナであり、「アドリア海の飛行艇乗りは、みんなジーナに(一度は)恋をする」と言われている。これまでに三度、飛行艇乗りと結婚したものの、全員と死別している。 |
カーチス |
アメリカ人(アリゾナの生まれで、祖母はイタリア人のクォーターらしい。1850年代に南イタリアからアメリカへの移民が多かった時代背景がある)。愛機はカーチス R3C-0非公然水上戦闘機。空賊連合が雇った用心棒で、ポルコのライバル。惚れっぽい性格で、ジーナやフィオを次々口説くも玉砕する。 |
マンマユート団ボス |
大きな鼻にゴーグルが特徴の、空中海賊マンマユート団の親分。空賊連合とは一定の距離を置いて一匹狼を気取っていたが、マンマユート団単機ではポルコに抗しきれず、不本意ながら連合と仕事を共にする。直情的ではあるが人情に厚く部下にも慕われる。ダボハゼと呼ばれる機体を使用している。 |